MLDトレーニングセンターで半年に一回のペースで開催しているMLDセラピストカフェ。
MLDトレーニングセンターでボッダー式MLDを学んだ方が集まり、サロンのクライアントや患者の症例を発表しあったり、情報を交換する勉強会です。
本日10月1日もその勉強会でした。
ベテラン看護師さん
今回発表してくださったのは3名のベテラン看護師の方々でした。
ボッダー式MLDを含め、リンパドレナージはヨーロッパでは数十年もの間、整形外科や皮膚科領域で治療として行われてきましたが、日本ではリンパドレナージというと、美容もしくはがん治療の後遺症の一つである続発性リンパ浮腫の分野でしか認知されていません。
でも、ここにきてようやく少しずつですが、修了者の皆さんが日本の病院や訪問看護の現場で、リンパ浮腫以外の患者さんに施術をさせてもらう機会を得て、良い結果を出されるようになってきました。
今日の発表者の皆様は、
1 『初期の顔面麻痺に対するMLDの補助的効果』
2 『難治性下腿潰瘍の治療促進に功を奏したMLDの報告』
3 『低温火傷後の治りの悪い皮膚へのMLD』
というタイトルの治療症例を発表してくださいました。
もちろん3例とも医療機関で診断と標準的な治療を受けておられた患者の方々です。
症例1
1の症例はある日突然ベル麻痺を発症した患者さんの症例で、投薬による標準治療、他の代替療法などを試したが、10日間ほどたってもはっきりした改善が見られなかったため、MLDを受けてみることにし、9回の施術を経て、完治した例でした。問診内容や施術期間中の経過の観察などから、慢性的ストレスによる頭頚部の筋緊張と免疫力の低下などが発症の引き金となったと考察でき、ボッダー式MLDが肉体と心の両方をケアできた症例として、ボッダー式MLDのホリスティックな側面が際立っていた例であると思います。
症例2と3
これらの症例に関しては、難治性で、通常の治療では改善が見られなかった症例です。
2の難治性下腿潰瘍は静脈瘤も起こしていた高齢者の方で、静脈性潰瘍です。
この患者さんは3年間、下腿潰瘍の治療を続けても治癒しなかったのが、MLDを受けるようになって3カ月で潰瘍が縮小し、その後、治癒に至りました。
それまで24時間途絶えることなくその患者さんを苦しませていた辛い疼痛も一回目の施
術から緩和されました。
この方はリンパ浮腫とは診断されていませんが、皮膚が強度に硬化していました。担当し
た看護師のセラピストはリンパ浮腫療法士の資格を持っておられる方であったため、その
知識と技術を生かすことが出来たことが治療の成功につながったと考えられます。
また、ベテランの看護師さんですので、MLDだけではなく、静脈性潰瘍の標準治療として
、潰瘍のドレッシングの交換も工夫し、スキンケアには部分的にアロマセラピーの知識も
生かし、適切な圧迫療法を行ったからこそ、ここまでの結果に結びついたと思われます。
3の低温火傷の症例は受傷後、1ヶ月近くたっても改善が見られなかった若い患者さんが
、MLDを受けるようになってからは明らかに治癒が進んでいった例です。若い人は新陳代
謝が活発なので、本来は高齢者と違って順調に治癒するのですが、この方はなぜか、なか
なか治癒せず、困っておられた方でした。
にわかには信じがたい
ボッダー式MLDは、疾患や症状により、例外もありますが、基本的には“驚くほど軽い圧で
、羽のようなタッチが気持ち良い”、ことくらいしか、受け手は体感として感じないため、
一般常識で考えると、こんなふわふわした手技で何かが変わるとは思えず、こんなのが効
くわけないだろうと思われて当然です。
エステの強いリンパマッサージを期待しておられたクライアントさんでしたら、怒ってしまわれるかもしれません。ですので、最初にご説明はするようにしていますが、、、
なぜ効果が出るのかは物理学と解剖生理学で理論的に説明できます。
100%理解するには解剖生理学の知識がある程度ないと理解してもらえませんが、たとえ、それを頭では理解できても、にわかには信じてもらえないことが多いのです。
現に、ボッダー式MLDの基礎課程を修了したばかりの医療従事者の方はひそかに本当に効
果が出るの疑問に思ってしまっていることも珍しくないのです。
そんな方の1人が今日の勉強会にもいらっしゃいましたが、この症例報告を聞かれたこと
で、これは本当に役に立つものであると納得してくださいました。
素手で、基本的にはとっても軽く(皮膚組織の状態によっては非常に強い圧で行うことも
実はあります。)膚に何もつけないで行うボッダー式MLDを90年ほど昔に開発してくだ
さったエミール・ボッダー先生は本当にすごい方だなと改めて思い、思わず心の中でボッ
ダー先生に手を合わせてしまいます。