自然療法として人気の高いこの二つの療法はそれぞれに唯一無二の強みがあります。と同時に限界もありますが、その限界の境界線をぐんと大きく広げてくれるのがこの二つの療法の組み合わせなのです。
また、どちらも専門性の高いセラピストであれば、サロンの中でだけではなく、医療現場でも活躍しているほどその価値が認められている、ポテンシャルの高い療法なのです。
アロマテラピー
アロマテラピーは‘精油’と呼ばれる植物から取り出した香りの物質を「嗅ぐ」、「吸入する」、「皮膚に塗布」するなどの方法で用います。なかでも、もっとも画期的なのが、瞬間的に効果をもたらす、「嗅ぐ」方法です。
香りの信号は0.2秒以下で脳に到達し、記憶と結びついて一瞬で私たちの感情に変化をもたらし、それが身体の自律神経系や内分泌系に作用します。つまり、とてつもない即効性があるのです。
また、吸入した場合、気道の粘膜に局所的に作用するだけではなく、すぐに血管やリンパ管に吸収されて全身の循環に乗り、身体全体に作用し始めます。皮膚への塗布や、ボディトリートメントや入浴などに使用すると、皮膚に局所的に作用しながら、真皮層に移行し、数分の間に全身的な循環に入り、様々な働きをします。
このように、様々な作用経路があるため、メンタルケアから日常的な不調の改善まで、幅広く用いることが出来るのがアロマテラピーの強みと言えます。
ただ、一方で精油や植物油などの基剤を使用するため、その安全性を担保する必要があり、精油の使用が禁忌となる状況もあるため、すべての人に提供できるとは限らないのです。
リンパドレナージ
あえて、ここで“リンパドレナージュ”ではなく、“リンパドレナージ”と言うのには理由があります。リンパドレナージュはエステサロンでは使えるけれど、医療用には使えない種類の美容法を指します。
たとえば、世界で最初に開発されたボッダー式リンパドレナージは医療にも美容にも使うことができるのです。 欧米では一般のセラピストがサロンで施術するだけではなく、理学療法士や看護師によって、整形外科領域やガンのリハビリテーション分野などで用いられているのです。
しかし、手技療法であるため、香りのように一瞬で人に作用することは出来ません。メンタルケアであれば10分でも効果がありますが、身体的症状の緩和には少なくとも20分は施術が必要です。
一方、皮膚に何もつけずに、非常にソフトなタッチで行うため、通常のアロマテラピートリートメントでは刺激が強すぎる場合や、香りが苦手な方、アレルギーや皮膚刺激のリスクが大きい場合や、皮膚の炎症や痛み、浮腫が強い場合、たとえば、生まれたての赤ちゃんや幼児、妊婦、フレイル患者、アトピーなどの皮膚疾患、怪我や外科手術後であっても施術することが出来るのです。
また、身体に溜まってしまったものを排出するのがリンパドレナージです。つまり、手を使った身体のデトックス療法でもあります。もちろん、そのためには高い技術と知識が求められます。
セラピストとしてもっとクライアントに寄り添い、もっと幅広い症状に対応できるようになる
精油の作用といった知識だけであれば、アロマセラピーの本を買って読めばいいのですが、実際、それだけでは1人1人身体の状態が違う生身の人間に行うにはリスキーなのです。アロマ、MLDの授業では本やテキストに書いていない勉強をします。
もし、独立開業を目指すのであれば、アロマテラピーとリンパドレナージを学ぶことで、より人間の心と身体をホリスティックに深く理解し、実践力を磨いて様々なクライアントやシチュエーションに的確に対応できる応用力を身に着けましょう。