今から30年ほど昔、私は英国に住んでいました。ちょうどその頃、仕事のストレスで心も身体もすり減って、金融の仕事を辞めたところでした。
そして、そのあとの5年間、自分のストレスと向き合うため、自然療法を色々と勉強している中で、よく遭遇した病名が、慢性疲労症候群という疾患でした。
英語ではCFS (Chronic Fatigue Syndrome)、もしくはMEと書かれていることがありました。
長い間、このMEがなぜ、慢性疲労症候群なのか、わからなかったのですが、最近やっとわかりました。
これは、Myofascial Encephalitis 筋痛性脳脊髄炎のことで、慢性疲労症候群のもう一つの名前だったのです。
30年前は、慢性疲労症候群の原因は確定されていませんでしたが、ストレスなどの他に、ウイルス感染などが引き金になる、とも言われていました。
そのときは、なぜ、ウイルス感染が慢性疲労症候群を引き起こすのか、周りにその症状を持った人もいませんでしたので、深く掘り下げませんでした。
ところが、新型コロナウイルス感染が蔓延し、感染した人の中に、まさに、この慢性疲労症候群や筋痛性能脊髄炎のような後遺症で苦しんでいる人々が少なくないことを報道で知りました。
そのときに、アッ、、これって!と思ったのです。ボッダー式MLDが効果的なんじゃないかと。
なぜかというと、ボッダー式MLDは間質から炎症性物質を吸収するリンパ管の働きを高めることで炎症を鎮静させる効果と、亢進した交感神経を鎮静させ、過剰な筋緊張を緩める効果があるからなのです。
それから、もう一つ。
私はMLDの他に、アロマセラピーが専門です。
IFPA認定クリニカルアロマセラピストの養成コースのテキストを何年も前に書きました。
そのコースのモジュール3課程で、痛みのメカニズムとその緩和に関するテキストがあります。
そこで紹介している疾患に線維筋痛症やリウマチ、慢性疲労症候群などがあります。
いずれも、その痛みの症状がストレスで悪化を見るものです。アロマセラピーはストレスを和らげる力が大きいので、このような疾患には有用と考えられています。
でも、テキストを作ったのは昔でしたから、MS/CFSの病気の具体的な成因まではわかりませんでした。それが、たまたま、別のことでネット検索をしていて見つけた論文で「あ、そうだったのか」と納得がいく説明がされていたのです。ぜひ、興味のある方はお読みください。
名古屋大学の研究者による論文です。ちょっと難しいところはスルーしながら読んでもらってもだいたいの内容は掴めると思います。
「ストレス下での持続的な筋緊張が慢性的な痛みにつながる仕組みを解明 ~筋痛性脳脊髄炎/線維筋痛症における痛み発症・維持のメカニズム~
Journal of Neuroinflammation (2019年3月30日付けの電子版に掲載)
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical_J/research/pdf/Jou_Neu_20190422.pdf