リンパ管を見たことがありますか?
血管は皮膚を通してでも見ることが出来ますが、リンパ管はどこにあるのか、皮膚を通しては見えないですね。
リンパ管は身体の中のいたるところにあります。血管や神経のまわり、内臓の周囲や、腸の中にもあります。
そして、皮膚や皮下脂肪の中にもあります。リンパ管がないところは、関節包の中、眼球の中などごく一部の臓器だけです。 そして、過去には脳にはリンパ管がないとされていましたが、2015年に脳にもリンパ管があったことが発見され、話題を呼びました。1)
リンパ管の中を流れる。ほぼ透明~乳白色な液体をリンパと呼びます。リンパの中には免疫細胞(リンパ球やマクロファージなど)が含まれています。血液と違って色があまりついていないので、リンパ管は血管に比べればよく見えません。そのせいでしょうか、リンパ管についての研究は他の臓器に比べると相当遅れていました。
現在も、リンパ管の機能や病理に関しての勉強はとってもサラッと終わってしまうため、医療従事者であっても、専門でなければあまりよく理解してもらっていないのが実情です。
そのような中でも、ボッダー式リンパドレナージセラピストの養成課程では、このリンパ学をかなり深く学びますので、専門知識がかなり身につきます。その働きを正しく理解すると、目からうろこが落ちます!
ところで、
免疫機能をつかさどるリンパ系の重要な役割の一つに、外部から侵入する病原体や異物を排除する役割があります。外界に接している人体の臓器である皮膚や、口や鼻などの粘膜の中にあるリンパ管を表在リンパ管と呼びます。皮膚筋膜より深部にあるリンパ管を深部リンパ管と呼びます。表在リンパ管は病原体の侵入を食い止める防衛の前線、リンパ節は要塞のような役割があるのです。そのため、リンパ管の80%は表在リンパ管として存在し、残りの20%が深部リンパ管なのです。2)
ただし、消化管は身体の内側にありながら、外界に接しています。そしてその表面積は、なんと皮膚の200倍の広さがあります。ですから、特に腸には全身の免疫細胞の60%以上が集まり、腸粘膜において全抗体量の60-80%が生産されているのです。3) ですから、健康な腸は健康な免疫力を持つのです。
さて、私達セラピストの手が触れる皮膚には感覚受容器があります。そしてこれは中枢神経(脳)と繋がって様々な信号を脳に送ります。Dr.ボッダー式リンパドレナージでは、皮膚を優しく動かすのですが、そのリズムはゆっくりで、同じ動きを5回ないし6回を1セットとして何度も繰り返します。
整った繰り返されるリズムは脳をリラックスさせるのです。
また、手で皮膚に加える圧もゆるやかな強弱の変化がずっと続くので、皮膚の中のAβという感覚神経線維に刺激を与え続けます。
Aβ繊維からの信号は、炎症を伴った持続性の鈍痛など、第二次疼痛を伝えるC線維の信号を弱めて脳に届きにくくしてしまうので、慢性的な痛みが和らぐのです。
皮膚に薬もオイルも、クリームも何もつけずに、しかもごく軽い圧で施術しているのにもかかわらず、高い鎮痛効果と深いリラックス効果が得られる秘密はここにあるのです。
ですからDr.ボッダー式リンパドレナージを体験すれば、『強くなければ効かない!』という思い込みが完全にくつがえってしまうのです。
参考文献
1)Structural and functional features of central nervous system lymphatic vessels 1/6/2015 Nature
2)Dr. Vodder Academy International – Level 1 theory text
3)市民公開講座 20180223 「からだをまもる免疫の研究」 樗木 俊聡 東京医科歯科大学難治疾患研究所生体防御 学分野